自由診療(保険外診療もしくは自費診療)と保険診療の、本当の違いについて説明させていただきます。
自由診療と保険診療の重要な違いは、
材料(もの)ではありません。
また、
自由診療イコールぜいたくな治療、という
考え方も間違っています。
そこに掛る手間暇(治療の準備にかかる時間、患者さんの治療そのものにかかるチェアータイム、技工作業に要する時間を含む)、 そして何十、何百段階もの細かい、精密な作業の積み重ねの明らかな違いが、値段の差になっているのです。
しかしながら保険診療、自由診療それぞれに利点、欠点がございますので、最後までお読みになった上で、 どちらを選ばれるかお考えいただくとよろしいでしょう。
また、高額の治療費がかかるような自由診療を行うにあたっては、予め、治療内容、回数、期間およびかかる費用等(お支払方法も含めて)について説明させていただき、患者さんにご同意いただいた後に治療を開始することとしております。
① 自由診療と保険診療の違い(なぜ自由診療なのか?)
保険診療では、国(厚生労働省)が決めたルールに則った検査・診断・治療を行います。
その際使用される材料や治療方法、あるいは治療回数や期間なども、全てにわたって事細かに規定されており、その規定で認められた範囲内で行わなければなりません。
言い換えれば、保険診療=制限診療であるとも言えるでしょう。
医科であれ歯科であれ、保険証さえ持っていけば、何でもしてもらえる、と思ったら大間違いなのです。
これに対し、国が決めた保険制度のルールの枠にとらわれない診療が自由診療です。自由診療には明確な目的があります。
それは、
将来に向けて貴方のお口の健康を維持増進するために、医学的、科学的に根拠のある、理にかなった最良の材料を使用し、十分な時間と手間ひまをかけて最良の入念な治療をすることにあります。
ですから、
特別に高価な入れ歯やインプラントなどのいわゆる「ものを入れる」ことだけを目的とするものではありません。そもそも歯科医療は、むし歯の病巣部分を取り除く行為等、病気の治療である本来の医療にあたる部分と、いわゆる詰めたりかぶせたり、あるいは入れ歯を作って入れたりする行為(「ものを入れる」行為)、ないしは歯列矯正のような、病気の治療ではない、言い換えれば非医療の部分とで成り立っています。医療の部分は保険、非医療の部分は自由診療、というふうに明確に分かれていればわかりやすいと思うのですが、歯科では実際には、医療の部分でも保険が使えないケースはたくさんありますし、逆に非医療の部分でも保険が使えるケースもあるのです。
また、中には、
保険診療=他人に対して行う診療
(これはあくまでも、国が行ってきた政策の結果として、こう喩えられような、おかしな状況になってしまっている現状があって、そこが問題である、というふうにご理解下さい。
誤解しないでいただきたいのは、このようにおっしゃっている先生方が、決して好き好んで、あるいは意図してこういう診療をされているわけではありません。
また誰もこうした現状を望んだわけではないことを、念のため申し添えます。)
これに対して、
自由診療=自分(すなわち歯科医自身)が受けたいと思う、あるいは自分の愛する家族や身内に対して行う診療
と揶揄する先生もいらっしゃいます(詳しくは、「院長コラム」も併せてご覧下さい)。
その証拠に、
歯科医師(私)自身やその家族、歯科医院のスタッフが保険診療を自ら望むことは、まずあり得ません。
また医師の方の中にも、御自分が歯の治療を受けられる際には、保険診療を望まないという方がたくさんいらっしゃいます。
それは様々な専門知識をもっているからということもありますが、専門知識の有無はさほど重要ではないと思います。
大事なことは、その時だけ、あるいはとりあえず良くなればいいというのではなく、将来にわたって歯を守りたいと思っていますから、そういう視点でよく考えて、選択しているからにほかなりません。さらには自分自身の体に手を加えることであり、
最良の物や技術が保険診療の中にはもはや存在しない
あるいは保険診療のでは、ルールがいわば「足かせ」となってしまい、私たちがいくらしてあげたくてもできないことも知っているからです。
貴方がお仕事上、またはご趣味の中で一番良いものを知っていることと同じです。
② 日本における歯科の、保険医療制度の特徴と問題点
日本では、すべての国民が国民健康保険や社会保険など、なんらかの公的医療保険に加入しています。
この国民皆保険の制度は、今から約50年前、第二時世界大戦で日本が敗戦を迎えた当時、その苦しい深刻な社会情勢の中で、国民すべての人々ができるだけ少ない負担で医療を受けられるようにと始まった制度です。
確かに、この国民皆保険の制度は戦後の苦しい世相の中で、国民の生命を守るためには、発足当時は非常に効果的で素晴らしい制度であったことと思います。
しかし、戦後60余年を経た今日、国民の生活レベルが向上し、治療に対するニーズも多様化し、また、歯科医療技術が進歩しているにもかかわらず、健康保険の歯科医療内容の根幹部分は発足当時のままで、全くと言っていいほど見直されることがなかった結果、現在の実情にはそぐわない面が多くなり、年月の経過によりいわば「制度疲労」をおこしてしまっています。
日本の歯科の保険医療制度の内容は医科のそれとは異なり、今日では、最新の歯科医療の内容と比較すると、残念ながら、その質は発展途上国なみとなっています。
たとえば、今となっては医学的にみても有害であることがわかってるにもかかわらず、日本人の口の中にはいまだに、世界でも類を見ない程多くの「銀歯」(水銀を含んだアマルガムや金銀パラジウム合金)が入っております。
確かに銀歯でもある程度咬む機能だけは回復することはできますが、銀歯に限らず保険で認められている治療はあくまでも「必要最低限の」、「安いなりの」治療だけであって、医学的、科学的にみて理にかなっているかどうか、人体に対する安全性などはまったく、考慮されていないために、特に銀歯に含まれる「パラジウム」や銅などの成分により金属アレルギー症状を起こしている方が増えております。
また患者さんの中にもそうした金属アレルギーを懸念されている方が徐々にですが増えてきております。
我が国では現在、生活レベルの向上と治療に対するニーズの多様化に伴い、歯科の分野でもよりよい内容の治療、ハイグレードな治療を希望される方々(上記のような金属アレルギーを懸念される方も含めて)が年々増えてきています。
このような場合、こうした方々の希望を満たすためには、現在の保険診療で決められている治療内容では不可能で、保険診療の枠外になってしまい、保険診療では十分な診療が行えないことが多くあります。
また、私たち歯科医師がより進歩した最新の治療を行なおうとすれば、これもまた、保険診療の範囲外になる場合が多々あります。
加えて、歯科疾患の特徴として、特に歯科の2大疾患である、むし歯と歯周病が、適切な定期管理を行うことで予防することが可能であり、また予防が健康維持に大変重要であるにもかかわらず、医療保険がいわば「疾病保険」であるがゆえに、予防や定期管理にかかわる部分が全くと言っていいほど保険診療の範囲外になってしまう(言い換えれば、もともと疾病保険である以上、むし歯や歯周病にかかって初めて保険給付されるのであって、予防すなわち病気にかかっていない人に対して保険給付することはできない)ことも大きな問題です。
歯科保険診療には更に、もう一つの重大な問題があります。
それは、
歯科の保険医療の治療単価が、諸外国と比較しても非常に低い料金に設定されていることです。
このことは、歯科保険医療の質の低下を産む大きな原因の一つになっています。
というのは、歯科保険医療では治療費の単価が低いために、歯科医師(特に開業医)が医院の経営を維持安定させるためには、やむを得ず、あるいは仕方なく、(歯科医師が好むと好まざるとにかかわらず)、一定の時間内に多くの歯の治療を行なわなければならなくなります。
他の職業で言う「薄利多売」をやむを得ず、しなければならないことになります。
このことは、歯科医療の質の低下を招き、ひいては「乱診乱療」、「手抜き治療」にもなりかねません。
ところが患者さんにとっては、これは「安い」「早い」治療というふうに誤解されてしまい、一見するとそういうまるでどこかの牛丼屋みたいな歯科医院があたかも良い歯科医院であるかのように映るのですが、長い目でみた場合には患者さんにとって決して利益にはならないのです。
その理由は下記にて詳しく述べておりますので、よくお読み下さい。
参考までに、歯科医療先進国の北欧やアメリカの歯科医院では、診療の質を維持するために、一日に5~10人程度の患者さんしか診療を行っておらず、それで十分に経営が成り立つシステムなのです。
言い換えれば、診療の質を維持しようとするならば、最低でも一人につき治療だけで30分程度、患者さんへの説明も入れると1時間程度は必要とされています。
できれば患者さんのことを第一に思い、そのようにしたいと考える歯科医も少なくありません。
しかし保険診療のルールの中でそのようなやり方を続けていると、歯科医院経営はたちまち赤字となり、潰れてしまうのが今の歯科保険医療制度の現実なのです。
現に国公立病院の歯科、口腔外科部門がほぼ全て赤字経営であるのはその典型的な証左であると言えるでしょう。
つまり、歯科の保険診療では、時間をかけて入念な治療を行なった場合でも、簡単に行なった場合でも、料金は一律です。
そのことがさらに歯科治療の質の低下に拍車をかけます。
また、経験豊富な歯科医師の場合でも、大学を出てすぐの歯科研修医の場合でも料金は同じです。
そこには歯科医師の技術の差は全く反映されていません。
このような色々なことが原因となって、せっかく行った歯科治療が医原性疾患の原因となり、数年後には破綻を来して再度歯科治療が必要となるケースが多々あります。
そして、この再治療になった場合に、患者さんと私たちにとって最も困ることは、再来院された方のお口の中の状況が、前回の治療時よりもさらに悪化していることがほとんどであるということです。
しかも、
歯は、一生の間に何度も何度も再治療ができる臓器ではありません。
また、
いったん削られたり、抜かれたり、あるいは詰められたりかぶせられたりした歯は、現在のところ二度ともとの健康であった時の歯(の状態)に戻ることができませんから、
一生の間に、このようなことを数回くり返すと、次々にご自分の大切な歯を失い、最後には総入れ歯に辿り着くことになります。
ですから、歯が少ない人ほど歯科医院にたくさん通っているという、常識的に考えて不可解なデータがあるのです。
裏を返せば、歯科医院に行けば行くほど、歯がどんどんなくなってゆくという現実があるわけです。
これがお医者さん、たとえば整形外科に通うたびに手や足の指がなくなっていったとしたら、みんなおかしいと思うでしょうが、歯の場合はそうは思わないようです。
安易な歯科治療をしたことが原因で、あるいは応急処置ばかりを繰り返してきたために、数年後にさらに口の中の状況が悪くなって歯科医院をおとずれる、このようなことのくり返しの状況を私は開業前より数多く見て参りました。ちなみに最先端の歯科医療を提供するはずの大学病院でさえもそうした患者さん(注:悪性腫瘍や難病の患者さんではありません)が少なからず来院されておりました。
大袈裟かもしれませんが、その時にかかった費用は安くても、将来のことを考えると、けっして安いだけで、すまされる問題ではないと思うのですがいかがでしょうか?
このように、歯科保険診療においては治療の内容がルールにより規制され、また、治療料金が現在の治療技術にそぐわない面も多く、そのことが、今お話したような、保険で行う歯科医療内容の質の低下にもつながり、医療を受ける患者さん、また医療を供給する側の歯科医師のどちらにとっても不幸な結果につながっているようです。しかも患者さんも、また歯科医師でさえもほとんどの方がそうした現状を「当たり前」と思ってしまっていることが、より事態を深刻にしているように私には思えてなりません。
参考までに、歯科医療先進国スウェーデンでは、すでに 80歳で自分の歯が平均約20本残っており、日本でいうところの「8020」をすでに達成しています。
これに対して日本では、80歳で残っている歯の数は平均わずか9.8本です。
国民皆保険制度の下、日本人の歯はどんどん「削られ」、「詰められ」、「かぶせられ」、やがては「抜かれ」、入れ歯やインプラントを「入れられ」て、ついには自分の歯がなくなってゆくというのが現状といえるでしょう。
中には、歯科医師サイドから自由診療に関する費用的な話をするのが嫌なために、もっとより良い治療があるのを承知の上で、保険のみで診療を行ってしまうケースもございます。
保険診療と自由診療のどちらを選ばれるか、あなたのお口の健康維持について、遠い将来のことを視野にいれてお考えいただくのがよろしいでしょう。
なお自由診療におきましては、全く同じ治療内容、材料、方法であっても医院によって金額が著しく異なっております。
しかしあえて言わせていただくならば、残念なことに自由診療におきましても、質ではなく(あるいは集患のために、患者さんにわからないところで質を犠牲にしてまで)「安さ」を売りにしている歯科医院(特にインプラントを行っている歯科医院)が多数存在するように思われます。
これがもし事実とするならば、医療を行う人間としては絶対にあってはならないことであると私は考えています。
いわば土木工事屋さんや修理屋さんの発想であって、病気を治す医師としての発想ではないでしょう。
当院における自由診療は保険診療では絶対に得ることができない高い「質」を売りにしております。
特に自由診療を選ばれる際にも、 金額や「安さ」だけで判断することは絶対におやめ下さい。
お考えいただく際に、気になっていることや、わからない点、ご不明な点、あるいはご希望等がございましたら、患者さんのほうから私まで遠慮なくお申し出下さい。




